民法は、「離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」 ことを、定めています(第768条第1項、第771条)。
これが、財産分与と呼ばれるものです。
財産分与について、民法が定めているのは、そのほかに、
「財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。但し、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。」
ということ (第768条第2項、第771条)と、その場合には、「家庭裁判所は、当事者親方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」、ということ (第768条第3項、第771条) です。
財産分与の性質については、?婚姻継続中に生じた財産関係の清算(清算的要素)、?離婚により生活が困窮するおそれのある配偶者の扶養(扶養的要素)、?離婚の原因について責任のある配偶者から離婚により精神的苦痛をこうむった相手方配偶者への賠償(慰謝料的要素) の3つの要素をあわせて持つものである、と考えられています。
もっとも、?の慰謝料的要素については、慰謝料との関係をどのように考えるか、という問題があります。
清算的要素について、考えてみましょう。
夫婦の財産は、いずれか一方の特有財産か、親方の共有財産かの、いずれかです。
民法は、第762条で、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。」 (第1項)、「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。」 (第2項)、と定めています。
夫名義の財産の取得、維持についての、妻の「内助の功」といわれるものは、その典型です。
そして、そのような場合には、離婚に際し、相手方の特有財産、或いは双方の共有財産についての相手方の共有持分から、自分がその取得、維持に実質的に寄与した分を取戻すことを認めるのが、配偶者間の公平を図る、という観点からして、必要である、と考えられます。