離婚に伴う財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を離婚をするに際して分与することをいいます。
離婚における財産分与は、このような夫婦財産の清算としての性格(清算的財産分与)の他に、離婚後の扶養としての性格(扶養的財産分与)、精神的苦痛に対する慰謝料としての性格(慰謝料的財産分与)も持つといわれています。
離婚における慰謝料とは、離婚によって精神的損害を被った者に対してなす金銭的賠償のことをいいます。
財産分与と慰謝料は、養育費とともに、離婚をする時おける取決めの最重要課題となります。
財産分与が慰謝料的性格も持つと言うことですが、これは、財産分与に慰謝料が必ず含まれる、あるいは含めなければならないことを意味するものではありません。
財産分与と慰謝料を別々に取り決めたり、別々に請求することもできます。
判例の中には、いったん財産分与を受けた後でも、分与の額、方法が請求者の精神的苦痛を慰謝するに足りない場合は、別途に慰謝料を請求することができるとしたものがあります。
また、内縁関係にある者は、婚姻関係に準じた法的保護を受けることができます。
したがって、内縁の相手方が関係を一方的に解消したような場合にも、離婚の場合と同様、財産分与や慰謝料を請求することが可能となります。
内縁関係の有無は、先程の定義にあてはまるかどうかをケースバイケースで判断することになりますが、例えば、約16年間にわたり仕事の面で相互に協力をし、一緒に旅行をすることもあったという関係につき、その期間中は住居を異にし、それぞれが自己の生計を維持管理し、共有する財産もなく、2人の子供の養育につき一方は一切かかわりを持たず、両者は意図的に婚姻を回避し、かつ上記関係から維脱してはならない旨の合意もなかったこと等から、婚姻及びこれに準ずるものと同様の存続の保障を認める余地はない、とした判例が参考になります。
また、相手方が死亡したため内縁関係が終了した場合に付、残された者について、内縁関係にとどまる限り相続人とはならず、相手方が遺した財産について分与を求めることはできないとした判例があり、注意を要します。