不動産そのものを給付する場合、不動産の所有権を全部相手方に譲り渡す場合や、共有持ち分を設定してそれに相当する部分を譲り渡す場合などの支払い方法をいいます。
ただし、車や不動産などに共有持ち分を設定した場合、実際にその財産を、たとえば2分の1にその物自体を分けることは現実にはできません。
その場合は、不動産や車をお金で評価して、現金で清算することになりますから、結局は現金での給付となるでしょう。
さらに、離婚による財産分与のとき、分与の対象財産である不動産にローンなどの借金がついていた場合はどうなるのでしょうか?
ローンが残っていた場合の実質的な財産の評価は、財産の適正な評価時期までに返済した金額の元金充当分にあたるとされています。
たとえば分与対象財産が、全額をローンで購入した夫名義の3000万円のマンションだったとします。
この財産の評価時期を離婚成立時として、それまでに返済した金額の元金充当分が2000万円だったとき、このマンションの評価額は2000万円となり、これが分与の対象になります。
また、夫と妻の財産形成への寄与度がそれぞれ1対1だったとすると、財産分与額は夫も妻も1000万円ずつになります。
残りのローンは、このマンションを所有するほうが負担し、相手に財産分与額の1000万円を支払えばいいと言うことになります。
また、ローンの名義人が夫と妻であったとすると、名義人を夫だけに変更するためには、金融機関などの承諾を得なければなりませんし、担保権も変更する必要があるかもしれません。
債権者である金融機関などにとっては、債務者がだれになるのかは重要な問題なので、ローンなどの債務引き受けを含む財産分与の場合には、債権者つまり金融機関の同意がなければいけません。